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地域おこし協力隊 川根の人・暮らし 渡辺実優(観光)

「伝統工芸を継ぐ」井川メンパに魅せられて移住した20代女性・石関華さん

  

こんにちは。川根本町地域おこし協力隊の渡辺実優です。

皆さんは「井川メンパ」をご存知ですか?

井川メンパとは、木を曲げて作る曲げわっぱの弁当箱に漆を塗ったものです。天然漆の美しい光沢と、長年の使用に耐えうる丈夫さが特徴となっています。

   

今回は2021年3月から川根本町に移住して 「井川メンパ大井屋」 に就職した石関華(いしぜき はな)さんを紹介します。

   

「伝統工芸を継ぐ 石関華さん」

石関華さん(1998年生まれ、静岡市清水区出身)は京都伝統工芸大学校を卒業後、2021年3月から 「井川メンパ大井屋 」(川根本町千頭)に就職するべく川根本町に移住。

大学で学んだ蒔絵の技術を活かしたメンパが好評です。

(画像)石関さんが蒔絵を施した井川メンパ

渡辺:普段はどのような仕事をされていますか?

石関:日によって違いますが、メンパの制作を少しずつ覚えていったり、大学で学んだ蒔絵をメンパに描いたりしています。

最近は大井屋のギャラリーを整備するために床に漆を塗ったり、メンパのメニュー表を作ったりしました。

渡辺:なぜ川根本町に来ましたか?

石関:もともと家族が伝統工芸が好きで、私も自然とその魅力に引き込まれていきました。そのため大学では蒔絵を専攻しました。

就活のタイミングで、たまたま親が 「大井川めんぱ大井屋」 が取材されたテレビ番組を見まして、私も素敵な場所だと思い、前田さんに師事したいと思い川根本町に移住しました。

渡辺:田舎暮らしに憧れがあったというよりは、前田さんがいたから川根本町に来たということですか?

石関:そうです!

渡辺:移住前は静岡市清水区や京都に住んでいましたが、川根本町での生活にギャップは感じましたか?

石関:ささいなことですが、夜になると人の気配がないことですね。車の音、人の声が全く聞こえないんです。聞こえるのは川の音、鳥の鳴き声、虫の鳴き声だけで…(笑) すぐ慣れましたけどね。

後はコンビニが(2軒しか)ないことですね。近所のスーパーも商店といったかんじです。そういったお店は大型スーパーと比べると値段は少し高くて…。

お金ないのにどうしようって思ったこともあります。ただ、山奥までの輸送費や地域に愛されてきた歴史を知ったら納得できました。そのままを受け入れようと思います。

渡辺:近所の人との付き合いはどうされていますか?

石関:親方の前田さんがいろいろな人を紹介してくれました。他にも自分一人では行きづらいご飯屋さんに連れて行ってくれたり。最初は周りの人、人間関係、生活の知恵を教えてくれる面倒見の良い地元の人がいてくれた方が良いと思います。

後は“すれ違った人には誰にでも挨拶をする“ことを心がけました。理想の生活のために、積極的に地域の人に関わっていきたいです。

渡辺:車の免許を持ってないのにガソリンスタンドのお兄さんからミョウガのおすそ分けをもらってましたよね(笑)

石関:通勤路でお世話になると思いご挨拶しました! 仲良くしていただいています。

渡辺:ちなみに理想の生活というのはどのような生活ですか?

石関:田舎の魅力をとことん楽しむ生活です。

週1回、川根本町内で外食の日を作っています。おいしいものを食べながらみなさんと仲良くなれたら嬉しいです。あとは千頭駅前で売っているお菓子を買って川辺で食べたりもしました!

渡辺:川根ライフを満喫していますね!

「郷に入っては郷に従え」と言いますが、石関さんはまさに自分から川根を知り、できるだけ寄り添うようにしているということが伝わってきました。

それでは次は石関さん〈移住者〉の近くの地域の方にお話を伺いたいと思います。

 

「親方が考える移住者のこれから」

親方の前田佳則さん。(2016年に川根本町へ移住し 「井川メンパ大井屋」 を開業)

渡辺:石関華さん(移住者)が川根で働くことについてどう思いますか?

前田:実は、スタッフを雇う予定はなかったです。華ちゃんが熱心に通ってくれて、大井屋で働きたいという強い意志を感じたので華ちゃんを雇うために雇用条件を考えました。

最初はアルバイト契約でしたが、大学の費用などもあるため途中から蒔絵の腕を買い、蒔絵を描いたらその分給料を多く払うように変更しました。

今後一年ほどで華ちゃんを正社員にできるよう事業を頑張っています。

渡辺:伝統工芸の世界ではかなり早いですよね。

前田:若い人が来てくれたのでそれに見合う価値を作っていきたいです。それが良い人材の確保につながると思うので。

渡辺:移住者の人と関わるとき気にかけていることは?

前田:(前田さん自身も移住者であることから)田舎での勝手が分からないと思うのでできるだけ手助けしたいです。

実は田舎ではエリアによってもかなり特徴があります。まずはその場所に詳しい人に出会い、移住前に内情を教えてもらうことが田舎暮らしの理想と現実のギャップを減らすことに繋がると思います。

また、お試し移住をして田舎の“少し面倒に感じるかもしれないけれど深い繋がり”というのを体験してみてください。

移住する際は周りの人の移住者への理解も同じくらい大切になってきます。

移住者を受け入れる側(川根本町)としてもまだまだ考えることはたくさんあります。お互いが違う人間と理解しながらもそれぞれの常識・文化を大切にしていきたいですね。

 

仕事とプライベートはどんな感じ? 
石関さんの一日

石関華さんの一日を紹介します。

車がなくても生きていける? 休みの日は何をしているの? 
買い物はどこでする?  気になるスケジュールは↓こちら

 

大井屋の社員として長く働きたい!

渡辺:最後に、今後の目標をお願いします。

石関:今後は 「井川メンパ大井屋」 の社員として認められるような仕事ができるように頑張っていきたいです。少しでも大井屋の一員として力になり、ここで長く働きたいと思います。

   

〈取材後記〉

石関さんは大学卒業後 「井川メンパ大井屋」 の社員になるべく、何度もお店に通い、「働かせてください」とお願いしたそうです。その情熱を感じた前田さんは石関さんを雇うため雇用条件を整備されました。

川根本町の求人は本当に見えづらいです。しかし、求人を探していること、もしくは「こういう仕事をしたい」と周りの人に相談し続けることでいろいろなお仕事を紹介してくれることがあります。

川根本町の人は仲良くなった人の力になってあげたいと思ってくれる人たちですが、どう手助けしたら良いかわからないということもあるので、まずは地域の人と話してみてください!

「地域にどう入っていいの? どう話しかけたらいいの?」という場合は、まずは、移住コーディネーターの神東(かんとう)さんに相談してみてくださいね。

<連絡先>
川根本町役場企画課(移住コーディネーター宛)
TEL:0547-56-2221
E-mail:iju.kawanehon☆gmail.com(☆を@に変えて送ってください)

〈追記〉

「井川メンパ大井屋」は2021年11月より「大井川めんぱ大井屋」に名称変更しました。

取材日:2021年10月2日

文責:地域おこし協力隊 渡辺実優