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地域おこし協力隊 川根の人・暮らし 渡辺実優(観光)

理想のライフスタイルを求めて~猟師になりたい若者たち~

こんにちは。川根本町の情報発信・PRを担当している地域おこし協力隊のみゆちゃんです。先日、わな猟の免許を取得しました。実は川根本町で猟師になりたい若者が急増しています。

田舎暮らしと言えば「スローライフ」や「自給自足」。猟師は農作物を守るためにも、貴重なお肉を獲るためにも大事なお仕事です。

今回の記事では、どうしたら猟師になれるの? 猟師だけで生きていけるの? 気になる猟師への道をベテラン猟師さん、新人猟師さんからお話を聞いてご紹介します。

猟師の現状

一般社団法人大日本猟友会 年代別狩猟免許交付数の推移

静岡県の中山間地域にある川根本町では、猟師の高齢化・人手不足により農作物の獣害が深刻です。

「このままではいけない!」 高齢化の激しい猟師の世界に20,30代の若者が新しく弟子入りしました。

メンバー紹介

メンバー紹介と目次

今回の記事ではベテラン猟師「殿岡邦吉さん」の猟師観とその「弟子たち」の事例を紹介します。「狩猟」と言うと漫画や映画から憧れる人も多いでしょう。

2021年から猟を始めた若手猟師のインタビューをきっかけに、猟師に興味のある人が実際に猟にでる手助けができたらと思います。

【目 次】

1ページ→みんなの師匠「ベテラン猟師の殿岡邦吉さん」紹介

2ページ→「猟を仕事に」現役大学生の松浦あづみさんが考える猟師ビジネス

3ページ→「自給自足」に憧れる地域おこし協力隊の渡辺実優。猟をきっかけに関係人口を増やしたい

4ページ→「猟は身近な存在」殿岡邦吉さんの娘・平井沙有理さんが猟を始めるまで

5ページ→「自然の中で生きる」静岡市から1時間かけて猟を習う勝山翔太さんの猟と人生観

6ページ→ジビエについて・ジビエ副産物を利用したい方へ

*狩猟には第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、わな猟免許、網猟免許の4種類あります。

*猟師とは山で猪や鹿などの野生動物を狩る人です。自分がやりたい猟の免許や資格が必要になります。

狩猟ポータル……猟についての基礎知識はこちらから。

猟師のInstagram……川根本町の若手猟師がInstagramを始めました。

  

【猟師歴52年】 殿岡 邦吉

殿岡邦吉さん(わな猟・第一種銃猟免許)

猟師になった経緯は?

20歳の頃、里山に鹿や猪が出没することから抑止力として猟師を始めた。うさぎ猟から始めて、増えすぎた鹿や猪などの大物猟も駆除の目的で行うようになった。2年前(2020年)からは猟師一本で生活している。川根本町で唯一、ジビエ加工できる猟師だよ。

猟師の仕事とは?

猟師の1日のスケジュールとしては、普段は午前中にわなの見回りしている。もし動物がかかっている場合はそのまま止めさしをして、午後は解体をするね。精肉はスピード勝負だから、夜中までかけて行うこともあるよ。

捕れた動物はジビエ肉(野生動物のお肉)に加工して、飲食店に卸して無駄がないようにしている。最近じゃあ、鹿肉やイノシシ肉は珍しいからみんな食べたがるよ。

竹林にわなをかける殿岡邦吉さん

猟へのこだわり

猟師は趣味ではなく、獣害被害の抑止力としてやっているよ。

だから、猟はスニーカーで行けるような集落や道路近くの山しか行かない。鹿や猪が農作物を食べてしまうような被害を抑止するには、集落に出てくるものを駆除してやらないと意味がないわけじゃん。だから、あえて山奥に行かない。これが一番効果的だよ。それをすることで被害がガクンと減る。

この間、農家さんから「動物に豆が食べられた」と電話があっただけんな、その日にわなを仕掛けたら次の日には鹿が獲れた。その後は畑の被害はなくなって豆はみんな収穫できたみたいだよ。猟を通して農家さんのお役に立てれば一番良いわけだよ。

鹿に食べられた豆

猟師は残酷だと言われてしまうこともあるけど、獲る理由と目的がある。だからこそ、獲った命は大事にしたいと思うよ。かわいい、かわいそうと思うこともある。その気持ちを振り切ってやらなければいけない職業。

猟師のことを又鬼(またぎ)というが、「又、鬼になる」と書く。命をとるときは情け容赦なく命をとってやんなさいということ。速やかに、楽にしてあげるべき。

これから猟師になりたい人に向けて

殿岡邦吉さん

猟師になりたいという人がいたらねぇ……ウェルカム! ぜひ、来てください。

ただ、僕が教えられることは限りある。本来は猟っていうのは自分の工夫次第だよ。入り口までは導けるけれども、あとは自分の努力、工夫がないと猟師は確立できないものなの。

ジビエはまだまだ売り先がある。いかに効率よく被害防止をしながら、獲ったモノ(肉、毛皮などの副産物)を何とかうまく活かして商品に変えていくような技術を広げていかにゃじゃんね。

そうすることによって、鹿一頭が、今までは猟師が焼肉にして食べて満足していたものがレストランで美味しい料理に化けたり、毛皮も今までは穴掘って埋めてたやつがおしゃれなポシェットになったり、何とでもなるわけじゃん。そういったところまで手広くできる猟師が理想。

自然の山の恵みをいただいてうまく活用するのが猟師なんだよ。

自分の座右の銘は「為せば成る」

わなを自作する殿岡邦吉さん

猟師としてやっていることは独学のモノも多く、自分で勉強し工夫したものばかりだね。

何事も、悪く言えばすべてをなめてかかる。あの人ができて自分にできないはずがない。全てはやりようであるってね。そうすることで、努力も辛抱も工夫も考えもできるようになる。

自分のように猟だけでも生活できるが、(これから猟を始める人には)その道のりがちょっと遠いだけ。最初は生活するために猟師をしながら別の仕事をして、段々と技術を身に着けていきながらその比重を傾けていけば良いよ。

移住者の方へ

心配だと思う。でもね、為せば成るんだよ。

そうするとね、田舎の人はみんな気優しいから。それでね、困ったら、「私困ったわ。誰か助けて」って信号出せばみんな感知してくれる。誰となしに手を差し伸べてくれる。ほいで、いよいよ困って「私もう悩んじゃった。私もうこんな田舎無理かもしれない」って悩んじゃったら俺んとこくりゃいいだよ。そいじゃ、なんとかなるわ!

いつまでも限界集落のままじゃ困るだよ(笑)

新規入猟者が増えて嬉しいと話す殿岡邦吉さん

まとめ】

川根本町には捕った獲物をジビエ加工できるベテラン猟師さんがいます。猟と聞くと「動物を殺すの?!」と聞かれることもありますが、田舎には欠かせない職業となっています。過疎化が進む川根本町で、地域の存続や猟師の高齢化を心配する殿岡さんは新人猟師の育成にも力を入れています。

次のページからは、殿岡さんのもとで猟を学んでいる新人猟師の4人を紹介します。

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